Copyright マネジメント開発室 シニアコンサルタント 山室隆彦
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1. ISO14000とは何か 2. 背景 3. ISO14001の構成と概要 4. ISO9000シリーズとの比較 5. ISO14001による認証取得の意義 6. 審査・登録制度と審査・登録機関 7.企業における審査・登録までの活動 8. ISO14001認証取得のポイント
現在、環境についてのマネジメントシステムがISOの規格として認定されようとしている。 それがISO14000シリーズと呼ばれる規格で、英国の環境管理規格BS7750に準拠している。 ISO14000シリーズは規格とはいっても、産業廃棄物規制のようなものではなく、企業のマネ ジメントシステムを環境保護の観点から規定したものである。 このような規格の必要性が認識されたのは、1980年代に入って地球の温暖化や酸性雨、オゾ ン層の破壊などの地球規模の環境問題がクローズアップされてからであった。これらの環境問題が 従来の公害問題と異なる点は、特定の有害物質に起因する問題ではなく、企業や個人の日常活動に よる環境への影響が問題であることと、地域限定の問題ではなく国際的なあるいは地球規模の問題 であるということである。 この規格について審議するためのTC207の最初の会合は1993年の6月にカナダのトロント で開催され、1995年にノルウェーのオスロで開催された会合でDIS化が決定されている。1996 年3月初旬に行われた正式規格化についての評決では、反対票を投じたのはアイルランドだけだっ た。 このままいけば、DISが正式にISO14001として発効されるのは間違いないところではあるが、 現在の情勢では、評決で各国から指摘された、いくつかのポイントについての調整をはかるため、 発効の期日は1996年10月にずれこむと言われている。 このISO14000シリーズとはISO(国際標準化機構)の定める環境管理を目的とした規格群であ り、主に次の5つの規格群から構成されている。 ・環境管理システム(EMS)(ISO14001・14004) ・環境監査(EA)(ISO14010・14011・14012) ・環境ラベル(EL)(ISO14020・14021・14022・14023・14024) ・環境パフォーマンス(EPE)(ISO14031) ・ライフサイクルアセスメント(LCA)(14040・14041・14042・14043) 審査・登録機関による審査登録の対象となっているのはISO14001で規定されている環境マネジ メントシステム(EMS)である。この規格の目的は「継続的な改善の達成」可能な環境マネジメン トシステムの構築にある。 地球環境問題への関心の高まりの中、環境監査は企業の地球環境問題への取組みとして世界で脚 光を浴びつつある。
1980年代から、オゾン層破壊、地球温暖化、酸性雨等、地球環境問題への関心が高まり、91年 国際商業会議所(ICC)が「持続可能な開発のための産業界憲章」を制定、92年6月リオで「地球 環境サミット」における「リオ宣言」「アジェンダ21」が出された。この中で、「持続可能な開 発のための経済人会議」(BCSD)が環境に関する国際標準規格(ISO)づくりを提言、 ISO14000 づくりの基礎となった。 日本におけるISO14001に対する対応は、ISO9000シリーズの際の対応に比較して、国も企業も積極 的である。通産省の工業技術院では、ISO14001の審議段階からTC(Technical Committee) に参加して、ISO14001との整合性を持たせた環境JISの準備を1995年から進めており、ISO14001 の発効後すぐに環境JISも発効する予定である。 現時点(1996年6月)における国内企業の環境監査への関心は高く、ISO14000制定以前にも関 らず、関連規格BS7750、ISO/DIS14001の認証取得企業が国内で既に約40社(*96,6)存在する。 日本経済新聞のアンケートによると国内企業の76%が今後ISO14000の取得を予定しているとの ことである(*96,6)。 企業側の対応としては、電子・電気業界が先行している。大手メーカー10社が共同出資して、環 境監査のための審査登録機関である日本環境認証機構(JACO)を設立した。 それ以外にも、建設業界、自動車業界、化学業界での具体的な取組 みが始まっている。
継続的改善 4.1環境方針 4.2計画 4.3実施及び運用 4.4点検及び是正処置 4.5経営者による見直し ISO14001は大きく次の5つの要求項目から構成されている。 企業はこれらの要求項目に従って、環境に対する負荷の継続的改善を実現していくためのシステム を構築することが求められている。 詳細は規格を参照されたいが、以下にそれぞれの概要を述べる。 ○4.1環境方針 ・経営トップが環境への配慮にはっきりした意思を示すこと。 ・経営トップが企業活動の環境に与える影響について十分に把握したうえで、環境方針を設定するこ と。 ○4.2計画 ・環境に影響を及ぼす企業活動を明確化して、その改善のための長期/短期の具体的な目標を設定す ること。 ○4.3実施及び運用 ・企業活動の環境負荷を改善していくための組織と責任/権限を明確にすること。 ・経営トップは、そのために必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ)の適切な配分を行なうこと。 ・社員全員が環境を意識するための教育・訓練を実施し、コミュニケーションをよくすること。 ・環境改善のための手順の文書化を行なうこと。およびそれらの文書や記録の管理体制を確立するこ と。 ○4.4点検及び是正処置 ・環境負荷のモニタリング/測定によるパフォーマンスのチェックを行なうこと。 ・環境マネジメントシステムの監査を自ら実施することにより、システムの運用が効率的に 行われているかどうかのチェックを行うこと。 ・上記チェックの結果、不適合が発見された場合は是正処置を行うこと。 ○4.5経営者による見直し 環境マネジメントシステム引き続き妥当、適切かつ有効であることを明確にするために、経営トップ が見直しを行うこと。
ISOの規定する国際規格としては、1987年に制定された品質保証管理システムISO9000シリーズ
が普及している。ISO9000シリーズとISO14001とは共通の管理システム原則を共有している姉
妹の様な関係にあり、ISO9000シリーズに適合して開発された管理システムを環境管理の基礎と
して使用することが認められている。ただし、以下の相違点に留意する必要がある。
<ISO9000シリーズとISO14001の主な違い>
ISO14001 ISO9000シリーズ
方 針 継続的改善、法規的遵守、汚染防止等を盛り込む。 目標と責務を含み、組織の到達目標及
この方針は外部の利害関係者が入手可能とする。 び顧客の期待・ニーズに対応。
利害関係 周辺住民、従業員、出資者、顧客、消費者、 当該組織と顧客との2者。
者 環境団体、一般大衆等、広範囲に及ぶ。
適用形態 組織 製品・サービス
環境側面 環境関連法規制等の要求事項と環境に影響の 無し。
ある要素を把握し、有意な環境影響を決定す
る。
コミュニケーション 利害関係者とのコミュニケーションを要求。 コミュニケーションという要求項目はないが、
顧客とのコミュニケーションを図れるように
要求している。
企業にとってISO14001による認証取得の意義は、それぞれの企業のおかれている立場によって当 然違ってくる。実際には次のいくつかのねらいが組み合わさっている。 さらに、消費者の環境に対する意識が高まれば、グリーンマーケティングを重視する企業も増えて くるものと思われる。 いずれにせよ、このISO14001の認証取得は今後、非常に重要な要件になることが予想される。 (1) 企業イメージの向上 (2) 同業他社が認証取得しているから (3) ビジネス上のメリットを得る。(グリーン調達への対応、新技術の開発) (4) コストの削減(省エネ、省資源、リサイクル) (5) リスクマネジメント(環境リスクへの対処、訴訟対策、保険料率低減) (6) マネジメント効率の向上(目標・計画管理、業務効率の向上)
審査・登録制度とは、第三者の監査機関(審査・登録機関と呼ぶ)に自社の環境マネジメントシス テムの監査(審査と呼ぶ)を依頼し、その認証を受け登録することにより、自社の環境マネジメント システムの信頼性を利害関係者に示すことができる制度である。 96年6月からの審査・登録機関の申請は、品質保証(ISO9000s)で認定を受けた15機関の大半 が名乗りをあげている。現在これらの申請に基づきJAB((財)日本適合性認定協会)が認定作業を 実施中。早ければ96年中には数社が認定を受ける予定である。
企業が自社で環境管理システムを構築し、審査・登録を行うまで約1年間かかる(準備期間を除く)。
ただし、既に環境マネジメントシステムを有している企業やISO9000s等の審査・登録済み企業の
場合はその期間を短縮することが可能である。
以下にその構築の手順を示す。
準備期間 システム 環境マネジメント 認証取得
(3ヶ月〜) 構築段階 システム実施段階 本審査まで
(4〜6ヶ月) (4〜6ヶ月) 最低3ヶ月の実績
・自社環境管理体制 ・ISO委員会発足 ・内部環境監査
・他社事例 ・環境法規の見直し ・社内PR・啓蒙活動 ・登録承認・交付
・ISO14000要求事項 ・環境側面の抽出 ・是正・予防処置 ・登録公表
・審査登録機関の調査/等・環境方針の策定/等 ・予備審査・本審査/等 ・フォローアップ審査/等
ISO14001の認証取得にあたって、企業がしなければならないことや留意しなければならない
ポイントは以下のとおりである。
(1) ISO14001の要求事項に対する理解
(2) 現状行っている環境対策行動の把握
(3) 経営トップの環境マネジメントシステムに対する意識づけ
(4) 実務能力とリーダーシップを兼ね備えた推進担当者の任命
(5) 内部環境監査員の養成
(6) 必要に応じて外部の教育機関やコンサルタントの活用
以上