ISO9000Sで 公共工事が変わる

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建設マネージメント研究所研究第二部長広瀬宗一


技術者資格の見直しが必要


 最近、公共エ事において「良いものを安く」を求める動きが活発であり、とりわけ官民 ともに注目を浴びているのが、ISO9000Sの公共工事への導入の動きである.既に建設省か らは今年度の公募型指名競争入札においてISO9000Sのモデルエ事を行う旨の発表もなされ ている。しかしながら、ISO9000Sの公共工事への本格的な導入については、認証取得にか かる問題にとどまらず、公共エ事に関連する人、技術、制度の全般にわたって大きな影響 を及ぼすようになる。建設分野の審査登録機関をめざしているSCOPEの検討成果をもとに、 ISO9000Sの導入に伴う諸課題およぴ今後の対応策についての見解をとりまとめてみた。 昨年来、建設業においてISO9000Sの認証取得の動きが活発になりつつある。また、昨年 四月に出された「建設産業政策大網」においても建設業でもISO9000Sの積極抑な活用を図 る旨の提言が出され、また、建設、農林、運輸の三省が事務局となった「公共工事の品質 に関する委員会」の最終報告(平成八年一月)においてもIS09000Sの導入を含む三二の具 体的な施策が出されており、今後ますますISO9000Sの認証取得の動きが活発化することが 予想される。  SCOPEにおいてもこのような動きに対応して昨年度よりISO9000Sの建設業への適用に関 する研究会を組織し、海外での実態調査をはじめとして詳細な検討を進めてきた。品質確 保のひとつとしてISO9000Sを本格的に公共エ事に導入してゆくとなるとISO9000Sの認証取 得にかかわる対応も当然として、公共工事における品質確保のあり万全体について慎重に いろんな側面から検討を進めるべきである。  まず、公共エ事の品質確保のために主要なのは、技術者の確保・育成である。せっかく ISO9000Sの導入を図ったとしても、技術者の理解、認証がなければ品質の確保にはつなが っていかない。かねて考えることだが、わが国の学校教育の現場と公共エ事の現場とのか いりが大きく、たとえば大学を出ても建設会社、建設現場で再教育といった状況が当たり 前のようになっている。極端な話をすれば、いずれISO9000Sの認証が必要でなくなるほど 教育を徹底してい<ことを考える必要がある。このためには、既にある国で行われている ように、大学(高専)での教育において工事における品質、ISO9000Sの内容等について履 修科目で取り上げるような施策を誌至急講じる必要がある。  技術者の資格制度についてもISO9000Sの導入に合わせて全体的な見直しを図るべきであ ろう。わが国には現在大小様々な資格がある。国家資格もあれば民間資格もあり、また民 間資格であっても国家資格よりも権威のあるものもある。  しかし、おおむねある工事等満足にこなせる技術力を有しているかどうかについて差別 化をする、あるいはそういった技術者に対するインセンティブの付与といった観点での資 格が大半である.これに対してISOでいう審査委員の資格はこれまでわが国になかった新 しい資格であり、企業における品質管理・品質保証体制を第三者として審査するものであ る.また業務の内部監査といった制度も公共工事においてはなかったものである。もちろ ん審査員がISO9000Sの導入において大きな役割を果たすことになり、ISO9000Sの導入の成 否はひとえに建設分野の優秀な審査員が確保できるかどうかにかかっているといっても過 言ではないほどである。  しかし、既に建設分野でISO9000Sを導入している国においても審査員の能力のバラツキ が大きく困っているのが実情である。いかに建設分野における優秀な審査員を養成するか、 これが喫緊の課題であることは間違いない。またISO9000sの導入を実効の上がるものにす るためには、たとえげ建設業法で位置づけされている資格も含め、既存の技術者資格につ いてもISO9000Sに関する知識を求める、あるいは組み替え・新設を行うなど、技術者資格 全般について総合的な見直しが必要であろう。この場合既取得者に対しては補習教育など による補充も考えるべきである.

必要項目を選定、段階的に


 各国でのISO9000Sの導入の状況を見ると、いずれも建設業における生産性の向上、国際 競争力の確保を目的としているようである。  既に建設業でISO9000Sを適用している国の事例をみるといずれも形式的になり、本来の 目的である品質確保の実効が上がらず、必ず見直し作業が行われている。  ある国では建設業界の実情に適した品質マニュアルおよび社内における品質の向上を図 れるような経営の推進技法について、産・学・研で共同開発する方向で動いている。また、 ある国では当初ISO9000Sを入札参加条件にしたが、現実には認証を取得した事業所自身が 何もわかっておらず、二〇の要求項目が実際の作業に反映されていない事例が多々あった。  このため、発注者の方で具体的に何を実施してもらいたいのかについて啓発活動を行っ たり、講習会を開催するなどにより理解度の向上を図るような対応を余儀なくされている。 現在わが国では、建設業へのISO9000Sの導入に向けて動いているが、海外での先行事例 も含め、以上のような状況を考えると、段階的に導入を図ってゆくべきである。  ISO9000Sの要求項目は周知のように二〇項目あり、認証の取得に向けては二〇項目の要 求を満たすべきであるのは当然であるが、いずれにしても製造業などと異なり、建設業の 特異性を勘案するとともに、工事工種ごとにリスク評価を行い、リスク評価結果に応じて 建設業で特に重要な項目、そうでないものといったふうにメリハリをつけた対応が望まれ る。  とりわけ、各応募会社がISO9000Sに沿った品質システムを構築しているかどうかを発注 者が事前審査で審査するのであれぱ、発注者として二〇項目のうち、当面、品質確保上特 に必要な項目をいくつか選定するとともに、これらの項目について審査をし、状況をみて 項目数を徐々に拡大をするといった対応が必要である。要は、重要な項目が十分に対応で きていれば、あとの項目は理解が進むにつれてあとからついてくるとの考え方である。  現時点で認証を取得している企業にあっても、すべての項目について現実に十分な対応 ができているかといえば疑問な点があり、認証を取得しているからといっても、社内で認 証取得のフォローができていないとすべてがすべて実効が上がっているとは考えにくい。 したがって、当面は応募者が認証を取得しているか否かにかかわらず、発注者が必要とす る項目については自らが検討し、責任を持って審査する必要がある。   また、大手企業同士でもそれぞれ組織・体制が異なることから、当然のことながら構築 される品質システムも異なることになるだろう。また、現在のわが国のシステムでは、大 手企業と中小企業で対象とする工事規模、工事内容が異なるため、重要な項目も異なるだ ろう。このような状況を考えると、少なくとも大きく複雑な工事と小さな単純な工事では、 工事のリスクの程度が異なり、したがって発注者として品質確保上重要視する項目の内容 および項目数も異なるものと思われる。  したがって、発注者として何を、何のために要求するかを明確にすべきである。また、 単に事前審査だけを行えばそれで済むというものでもない。発注者も請負者も、契約後に おいても品質管理がきちっと行われているかどうかについてチェック・評価を行い、今後 にフィードバックされる体制を構築すべきである。  ISO9000Sの認証取得を入札参加条件にする場合(当面の措置としていくつかの重要な項 目についての適合を証明する場合も含む)、これまで同種工事の施工実績の有無を主体と した審査と中味を異にすることから、従来の入札・契約方式のあり万についても見直しの 必要性がでてくる。

直ちに入札条件とするのは無理


 ISO9000Sへの理解が不十分な状況のもとで(本来の目的が曖昧なままで)企業がISO9000S の認証取得に走ると、あるいは発注者がISO9000Sの認証取得を入札参加条件にすると、品 質システムの維持が形骸化する恐れがあり、実効が上がらないことが多いことは先に述べ た。  また、TS09000Sの導入は社内の組織・体制に大きな影響を及ぼすものであるから、いっ たん認証を取得したが、大きな不具合(実際に組織・体制を動かしてみようとすると認証を 取得したとおり動かない)が見つかり、この不具合を解消するために組織・体制を変更しよ うとなると社内の混乱のもとになる。  ISO9000Sは本来発注者(顧客の代行)が求めるものを規格化したものであるから、発注者 自らが導入にあたって実効が上がるようどのように導入するかについて慎重に検討すべきで ある。  適切な運用の基本になるのは発注者からみたリスク評価であると考えられる。的確なリス ク評価を行うことによって次のようなことが可能になる。リスクの大きいものにはISO9000S の認証を義務づけるとともに、厳密に適用する。リスクの小さいものに対しては単にインス ペクション(検査)のみでよいといったふうに、リスク評価に沿った運用が必要である。リ スク評価のためには基準が必要となるし、また発注者の中にリスク評価をする担当者を設置 することも必要である。  しかしながら、わが国では建設業においてISO9000Sは定着していないことを考えると、た だちにISO9000Sの認証を入札参加条件とすることには無理がある。したがって、リスク評価 に基づいて、たとえばある規模以上の工事については五項目、ある規模以下の工事について は三項目といったふうに、工事規模、工事内容に応じて要求項目数を変化させたり、また項 目によっては実施を要求するのか、文書化のみを要求するのかなどについて要求内容を具体 化することが必要である。  こうした時、発注者の事前審査の仕方が問題となる。応募者の対応について審査をするた めには、ISO9000Sで要求の要求項目のうち発注者が要求する各項目別に評価基準を作成する 必要があるのは当然である。この評価基準に恐らく単に文書上で品質システムが構築されて いるかどうかのチェックだけでは形式的になり、実質的な審査にはならないだろうから、発 注者が期待するように実際に実施されているかどうか、改善の余地があるかどうかといった 視点で過去の実績あるいは現在の状況を審査するように作成すべきである。  なお、これらの審査は入札・契約制度の一環として行われるわけであるから、本来発注者 自らが他の項目の審査と合うわせて行うべきであるが、それが不可能であれば、公正性の確 保を前提として本来建設業をよく理解している(主任)審査員クラスが発注者と一体となっ て行うことも考えられる。また、将来を考えた場合、審査登録機関との連携、役割分担も視 野に入れておく必要がある。  発注者自身がいいものを安全に求めるためにISO9000Sの適用を図っていくことを考えると、 あるレベル以上の会社に参入の門戸を開くことを主たる目的とし、過去の工事実績の有無等 で参入業者を選定する一般競争方式は、ISO9000Sの導入と基本的な考え方で一種逆の面があ る。  ISO9000S導入の初期段階においては、発注者の立場からみれば認証取得後のフォローが重 要であること、また本来入札・契約においてどのような方式を選定するかは発注者のリスク 管理の考え方に基づくべきものであることを考えると、ISO9000Sの導入は指名競争方式の方 が適している面が強い。  この考え方に従うと、現在の制度を前提とした場合、大きな規模の会社が対象となる一般 競争方式でISO9000Sの導入が難しいといった問題が生じてくる。       

導入へ中小対策が不可欠


 建設業で適用する上での問題点のひとつに、重層下請構造が一般的になっていることがあ る。いい品質の工事目的物の建設を目指すなら、当然のことながら下請にもISO9000Sの理解 を求める必要がある。しかし、下請会社に対していきなりISO9000Sの認証の取得を義務づけ ることが困難であるということになると、業種ごとに発注者が品質確保上クリティカルと思 われる項目についてのみ要求し、審査するという対応が必要となる。  しかしながら、実際にどういう対応をするかとなると難しい問題がある。ある程度会社の 形態が整っている規模を有する下請ならまだしも、五ー六人位の大工職とか、わずか二ー三 人位のレンガ工など、極めて小規模な建設関連業が数多くあり、元請が有する管理システム のもとでもこれらの企業にまでISO9000Sの理解を求めるのは非常に因難である。 国によっては、元請会社が下請会社に協力してISO9000Sの認証を取得させようとしている ところもあれば、中小企業が品質システムを構築する際、コンサルタント(わが国には建設 業の状況をよく理解している品質システムのコンサルタントは残念ながらほとんどいないが) にお願いする費用のいくらかを援助するような仕組みを導入しているところもある。わが国 でも本格的にISO9000Sを導入するのであれば、発注者の方で下請の扱いについても合わせて 方針を示すとともに、中小企業対策を個別に講じるべきであると考えられる。  ISO9000Sを円滑に、かつ本格的に導入するためには、あるいは発注者がISO9000Sの認証を 義務づけるなら何らかのインセンティブの確保の検討も必要である。ある国では、ISO9000S の認証取得企業に対しては租税の減免措置を講じるとか、銀行から融資を受ける際にメリッ トを与えたり、いい品質を確保するための経営がうまく行われている会社を表彰するとかい った制度を合わせて構築している。  また、ある国ではISO9000Sを導入している企業に対しては、応札時に便宜を図る(最低価 格でなくても落札可能)とか、認証取得にあたってのコンサルタント契約料の補助、品質優 良会社への受注機会の確保などの便宜が図られている。  わが国では、ISO9000Sの導入に伴うインセンティブの付与についてはほとんど議論がない が、ISO9000Sの本格的な導入を図ることにより発注者自身がメリットを受け、また各企業に 認証取得を促進しようとするのであれば、何らかのインセンティブの確保策についても至急 検討すべきである。  ISO9000Sを導入するにあたり、現状ではJV工事への適用がやっかいである。本来のISO90 00Sの内容から考えれば、ISO9000Sの規格に沿って構築された品質システムは、そのつど構成 メンバーが異なるJV工事でこそ威力を発揮するはずである。しかしながら、わが国では各建 設会社で組織・体制が大幅に異なっていることから、それぞれが異なった品質システムを構 築することとなるほか、ISO9000Sに対する理解のレベルにも高低がある。  わが国にはISO900OSの建設業への適用に関する当を得た、また実際に品質システムを構築 するにあたり参考となるガイドラインがないが、これらの作成と合わせ、JVのための適切か つ標準的なガイドラインの作成も望まれる。前者については、すでに土工協からもガイドラ インが出されているが、本来ISO9000Sは顧客の要求事項を規格化したものであるから、発注 者が顧客(一般国民)に代わって要求事項(何のために、何を求めているかなど)をガイド ラインとして明確化すべき側面もある。     

公共事業を多角的に見直し


 ISO9000Sの導入にあたり、建設業がISO9000Sの認証を取得すればそれで済むという問題で もない。認証取得よりもむしろ認証取得後の改善に力点を置くべきである。これにより実際 に実効の上がる品質システムが出来上がることになる。  また、ISO9000Sの導入は経営事項審査、各発注者が行う資格審査、指名基準、工事成績評 定など、従来の仕組みにも直接的、間接的に影響を及ぼす。したがって、ISO9000Sの本格的 な導入に先立ち、公共事業の執行のあり方全体について検討を進めるべきである。  実際に発注者が建設業に対してISO9000Sの認証取得を本格的に求めるなら、そのインセン ティブのひとつとして資格審査に反映すべきなのは当然である。TSO9000Sが建設分野で定着 してくれば、ある国で実際に導入されているように、ISO9000Sの認証を取得している企業に 対して資格審査で加算点を与えるといった対応が考えられる。  この国ではこの加算点のウエートが大きいことから、ISO9000Sの認証を取得していないと 政府調達の工事に参入できないこととなっており、各建設会社とも認証取得にやっきの状況 となっている。しかしながら、わが国のように建設業でISO9000Sの導入がこれから始まろう とする状況のもとでは、認証を取得しているかどうかだけの評価では、品質システムの維持 が形骸化する恐れがあるため、以前にも述べたように、当面発注者が事前審査の形で評価を 行うのが望ましい。  ISO9000Sを建設分野に導入した時、事前審査を行う立場から、資格審査に反映される工事 成績評定をする立場から、さらにはいいものを造るために監督、検査をする立場から発注者 自身のISO9000Sへの理解、認識が重要である。今年度より請負者の自己責任の原則の徹底、 書面主義の徹底などを計った公共工事の新しい契約書が適用されており、ISO9000S的な考え 方が適用されているが、ISO9000Sでいう顧客が一般国民であるとすると、ある意味では発注 者に対してもISO9000Sに沿った体制が求められることになる。  したがって、請負者と発注者はISO9000Sに沿って一体となって品質管理を行うものでなけ ればならないし、同時に発注者と受注者の責任と役割の分担が求められることになる。  これまでも公共工事においては発注者自らが品質確保上重要な役割を果たしてきたといえる。 工事発注のための設計作業の実施、技術基準づくり、共通仕様書の策定、工事の監督・検査 などはその代表である。とりわけ公共工事の品質確保のための基本となる共通仕様書につい ても前述の契約書の改正に合わせて大規模な改訂がなされているが、現時点では必ずしも建 設業でのISO9000Sの導入を踏まえた形で全面的に改訂されているわけではない。  したがって、建設業者サイドから見れば、自己責任の原則の徹底を図る意味でISO9000Sに 沿った体制整備を図るものの、実際の適用にあたっては社内体制への発注者との関係(発注 者サイドの諸規定、発注者の権限等を含む)の混入などにより混乱が生じることも考えられ る。  公共工事の品質確保の面から考えると、ISO9000Sの導入に合わせて資機材の規格および基 準類の見直し(規格、基準のないものについてはそれぞれ規格化、基準化)、資機材の規格 の標準化といった作業も併行して検討を進める必要がある。また、発注者ごとに異なる各種 基準・規格についてもISO9000Sにおける品質計画の作成にあたって問題となる。  要はISO9000Sを本格的に導入するとなると、公共事業の執行全般にわたって多角的な見直 しが必要になるということである。

導入の目的は良いものを安く


 各社でISO9000Sの認証取得準備を始めようとすると、まず、ひっかかるのがISO9000Sのど の規格で認証取得するかである。周知のように、ISOの規格は五年ごとに改訂される。 ISO9000Sの規格は一九八七年に制定されたから五年後の改訂となると一九九二年には改訂さ れるはすであったが、欧州統合などの影響で一九九四年七月の改訂となった。しかし、この 改訂では小さな改訂にとどまり、大幅な見直しは次回に持ち越された。  次回の改訂は二〇〇〇年ごろに行われる予定である。 次回の改訂ではISO9001ーISO9003がISO9001に一本化される予定である。ISO9001-ISO9003 で異なるのは範囲のみで、規格内容が同じであることを考えると一本化されるのが自然の成 り行きである。  ある国では、誤解があるのかも知れないが、このような動向を踏まえ、これからISO9000S の認証を取得しようとしているある会社は、当然9001で取る必要があるとの考えで動いてい たり、また、ある国のように元請、下請等で使い分けているところもある。  また、現在のISO規格は大手企業向けになっているため、中小企業には適合しないところも あり、次回の改訂では中小企業向けのガイドが発行される予定となっている。どういう企業 を中小企業とみるかの問題はあるが、現時点では、大手は9001で、中小、下請は実態を考慮 して9002ー9003で認証を取得というのが自然のようである。  ISO9000Sは品質管理・品質保証に関する国際規格であるが、発注者が建設業の実態をあま りよく理解しないまま繊細を要求しすぎると、かえってコストおよびマンパワーがかかりす ぎることになりかねない。  本来良いものを安くを目的にISO9000Sの導入が図られるべきものである。このような要求 項目については慎重に対応を検討すべきである。  ISO9000Sの導入が進むにつれて、発注者は今後環境と費用の縮減についても要求すること になるだろう。  環境関係についてはすでにISO14000Sとして国際規格が今年の七月に制定される見込みで ある。 各国とも大きな関心を寄せている。ある国ではISO14000Sの規格の制定に先立ち、ISO9000S の導入に合わせて既に現場で発生する廃棄物の五〇%の再利用を義務づけていたり、あるい はISO14000Sを先取りし、パイロット事業を行い、仮認証のようなものを発行するとともに、 環境監査員の養成が現実に進んでいたりする国もある。  ISO14000Sで求められているのは、法的な環境基準を制定することではなく、企業が自主 的に環境を管理するようなシステムが求められているわけである。基本的にはISO9000Sに共 通する部分が多い。  このようなことから考えると、ISO9000Sの認証をまず取得し、これにISO14000Sで要求さ れる部分を付加するようなことを考えれば対応が図りやすい。  いずれにしても品質に加え、環境と費用縮減は今後一体的に検討することが必要になる。